2026年度入試情報

伝道者の声

大橋 新

あなたの言葉に基づいて

茨木教会 牧師
大橋 新

私の知り合いに「基」くん、「基子」さん、という名前の方がいます。素敵な名前だと思います。神様の言葉を基にし、信仰という土台のうえに生きる人はなんと幸いでしょう。

ペトロは主イエスに「あなたは人間をとる漁師になる」(ルカ5章10節)と語りかけられました。その後の人生を決定づける言葉です。夜通し苦労をし、何も収穫がなかったその場所で、網を降ろしなさい、と命じられる。疑い半分か、その通りにするとおびただしい魚が網にかかる。ペトロはそこで自分の罪を知ります。畏れます。それでも、主イエスは終始、どっしりと構えておられ、その罪人と向き合っておられます。

ペトロが「お言葉ですから」と切り返した場合、ある翻訳ではこうなっています。「しかし、あなたの言葉に基づいて、私は網を降ろすことを欲します」。「あなたの言葉に基づいて」。この信仰、わずかな、しかし確かな信頼が、人生を変えることへとつながった。罪からの救い主、イエス・キリストへの信頼、神さまの言葉に基づく信仰。

私は神学校を卒業して10年になります。これまでの牧師としての歩み、そして、そこまでに至る歩み一つひとつが、神さまの言葉に基づくものであった、と振り返ることができます。伝道献身の志を与えられた時、その志が、自分本位のものではないかと思い悩み、罪と真剣に向き合い始めた時。神学生の時に、その証を書きました。『遣わされる日のために(2006~2015)―20名の献身の喜び―』に載せられています。聖書の言葉に支えられ、導かれる一時一時でした。

ある青年は、兄が神学校に入学し、自分も伝道のために献身することを真剣に考えたそうです。なぜ兄が牧師という道に進もうとするのか。そしてなぜ、自分がその道に進まないのか。祈り求めた結果、今の自分に与えられている仕事を果たして、教会員として歩み続ける、という決断をしました。現在は教会で執事の務めを与えられ、礼拝生活を送っています。その青年も、御言葉によって信仰の道が整えられたのでした。

「網を降ろしなさい」。私たちは皆、主イエスのために生き、働く者として召し出されています。教会に仕える、とりわけ、御言葉を基にして歩む証人として、その喜びを語り続けるために献身する者として、東京神学大学を受験なさることを強くお勧めします。