東京神学大学

Tokyo Union Theological Seminary

大学紹介

学長メッセージ

東京神学大学学長 芳賀力

敬虔と学問
pietas et scientia
東京神学大学学長
芳賀 力
「主を畏れることは知恵の初め。」
(箴言1章7節)
 「主を畏れることは知恵の初め」(箴言1:7)。そう聖書は語ります。このことは今日、必ずしも自明のことではありません。近代社会はむしろ神を畏れず、人間の理性だけを頼りに知的な探求を続けてきました。それは、科学技術を用いて人間がこの世界を支配しようとする試みです。まるでシンアルの地に、石の代わりにれんがを、しっくいの代わりにアスファルトを用いて、天にまで届く塔を建設しようとしたあのバベルの町のようです。その結果、言葉が通じなくなり、混乱(バラル)に陥り、人々は全地に散らされました(創世記11:9)。聖書は人間の世界をこのように見ています。驚くほど正確です。20世紀の二つの世界大戦、21世紀の地域紛争や覇権争い、移民問題、自然破壊など、人類は根本的な問いの前に立たされています。
 しかし神はこの混乱した世界に御子イエス・キリストをお遣わしになり、救いの歴史を開始し、教会を建て、私たちに歴史の完成を望ませてくださいます。本学での神学の学びは、この教会に仕える伝道者、また聖書を教える教育者を育て、日本の社会に送り出すためにこそあります。本学が目指すものは敬虔(pietas)と学問(scientia)とが最も美しい仕方で統合されることです。残念ながら両者が離ればなれになり、敬虔のない学問か、知的探求のない敬虔か、いずれかに傾いてしまう場合が見られます。だから神学はどこで学んでも同じというわけではありません。本学にも欠けはありますが、少なくとも私たちは敬虔と知的探求とが美しく統合される一点を見つめて、神学の研鑽を積んでいます。聖書は人間の「死の言葉」ではなく、「命の言(ことば)」(Ⅰヨハネ1:1)について語ります。私たちを生かすこの「命の言」をぜひご一緒に学びましょう。